みなさん、こんにちは!LIGHTBOAT編集部のナムです。僕は5年前に日本へ留学し、去年の4月からライトワークスという日本企業で、日本で働きたい外国人のための就職のお手伝いをしています。

今でこそこうして日本で働く僕ですが、当時、言葉も文化も違う異国での仕事探しは、分からないことばかりで不安もたくさんありました。

もしかしたら、みなさんの中にも、「日本での就職はものすごく大変」という話を耳にしたことがある人もいるかもしれません。

でも、こうした不安は、日本の就職文化をよく理解し、仕事探しを一つ一つ丁寧に進めていくことで解消できます。

今日は、そんな僕の体験を踏まえながら、LIGHTBOAT編集部の日本人先輩社員の港あかりさんと一緒に、日本の就職文化や就職活動のポイントをお伝えしていきます。

ぜひ、日本での就職の第一歩に、この記事を読んでみてくださいね。

レ・ホアン・ナム。5年前に母国を離れ、日本へ留学。去年の4月からライトワークスの新入社員として、LIGHTBOATの編集を行う。専攻は社会学。趣味は写真撮影と漫画鑑賞。25歳

港あかり。ナムくんの先輩。エネルギッシュ、社交的な性格で、旅行と読書、映画が大好きな32歳。

1. 留学生が知っておくべき日本の就職文化

まずは、留学生が戸惑いがちな日本独特の就職文化について、見ていきましょう。

みなさんは、「新卒一括採用方式」という言葉を聞いたことがありますか?これは、日本ならではの就職文化の一つです。「新卒」とよばれる新しく大学を卒業する人たちを、企業がポストの空きに関係なく、毎年同じ時期に採用することを言います。

新卒一括方式のパターンは二つで、4月入社10月入社です。このうち、より求人数が多いのは4月入社です。日本では、大学や専門学校を3月に卒業し、翌月の4月1日から働き始めることが一般的だからです。

4月入社をするには、学生は大学を卒業する前から就職活動を始めます。就職活動とは、就職するために必要なさまざまな活動のことです。具体的には、以下のような活動・流れが挙げられます。

こちらもぜひチェックしてください!
https://lightboat.lightworks.co.jp/job-hunting-lp

僕の国では就職活動=書類を出して面接を受けるだけだったので、日本では就職するのにこんなに長い時間をかけていろいろなことをやると知って、驚きました。

日本では、同じ時期に同じ企業へたくさんの学生が応募するから、みんな選考でふるい落とされないよう、選考が始まるずっと前から準備を始めるんだよね。

企業にエントリーできる期間が限られている、という点もポイントですね。

大学3年の3月~4年の5月末頃、というのが一般的だね。これを逃すと選考を受けられなくなってしまうから、特に注意が必要だね。

日本での就職を考えている留学生は、「新卒一括方式」という日本独自の就職文化をよく理解した上で、計画的に就職活動を進めるようにしましょう。

2. 日本で就職するために留学生がやるべきこと

次に、僕がやった就職活動の内容を具体的にご紹介します。1章で挙げた表に沿って、大きく「準備期」と「選考期」の2つに分けて見ていきましょう。

まず準備期は、大学3年の6月頃から次のようなことをしました。

準備期にやったこと説明
インターン実際に職場で就業経験を積んだり、研修を受けたりします。
自己分析自分に合った企業を見つけたり、選考時に自分を上手にアピールしたりできるよう、自分の長所や短所、価値観を整理・把握します。
業界研究・企業研究・職種研究新聞・本・ウェブなどで情報を集める、セミナーに参加する、OB・OGに話を聞くなどして、各業界・企業・職種について理解を深めます。
エントリーシート対策エントリーシートは、企業に正式にエントリーする時に必要な書類です。自分の魅力が企業に伝わるよう、「自己PR」「学生時代に力を入れたこと」、「志望動機」などを文章にまとめておきます。
筆記試験対策問題集を解いたり、新聞などで最近の社会の動きや志望業界に関係する話題などをチェックしたりします。
面接対策礼儀正しいあいさつや受け答えの練習をします。
日本語能力試験(JLPT)の受験大学3年の12月までにN2またはN1に合格しておきます。
企業説明会への参加事業内容や仕事内容、エントリー期間などの選考スケジュールについて、企業の説明を聞きます。

準備期は特に、自己分析や業界研究・企業研究・職種研究をしっかりとするようにしました。

これを面倒くさがってやらないでいると、後でなかなか選考に通過できなかったり、就職後ギャップを感じてすぐに退職したりする留学生も多いものね。

次に、選考期には、大学3年の3月頃から次のようなことをしました。

選考期にしたこと説明
エントリー大学3年3月~大学4年5月末にかけて、企業にエントリーシートなどの応募書類を提出します。正確なエントリー期間は企業によって異なります。
筆記試験・適性検査国語力や数学力、一般常識、性格などを確認するための試験を受けます。結果は、能力や性格がその企業とマッチしているか、採用するとしたらどの部署に配属するのが良いかの判断材料として使われます。
面接企業によって2~4回面接を受けます。一次面接では、複数の学生と一緒に面接を受けたり、5~8人のグループでディスカッションやプレゼンテーションを行ったりすることもあります。
内々定最終面接に合格し、企業から口頭やメールなどで、採用の意志を伝えられます。正式にはまだ労働契約は成立していない状態です。
内定内々定の後、企業から「採用通知」が渡されます。これに対して「入社承諾書」を提出すると、正式に労働契約成立となります。
在留資格の変更大学4年の12月~翌年2月に、在留資格を変更します。内定している場合は、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などに変更します。内定していない場合は、「特定活動」に変更すると、最長1年間日本に滞在できます。

選考期の中でも、エントリーシートの提出期間は一番忙しかったです。

エントリーシートは企業によって形式が違うから、志望する企業の数だけ書かないといけないものね。

エントリーシートは内容によって面接を受けられるかどうかが決まってくるので、何をどう書くかも、1枚1枚すごく悩みました。

3. 留学生のための就職活動成功の秘訣

僕が考える就職活動成功の秘訣は、次の3つです。
・「キャリアセンター」や「就職課」、「留学生センター」などに相談する
・自己分析や業界研究などの準備をしっかりとする
・ビジネスの場で生かせる日本語能力を身につけておく

では、それぞれのポイントを詳細に解説します。

・「キャリアセンター」や「就職課」、「留学生センター」などに相談する

まずは、大学にある「キャリアセンター」や「就職課」、「留学生センター」などへ相談に行くのがおすすめです。就職活動の進め方や求人の探し方についてのアドバイス、面接対策、留学生を積極的に採用している企業の情報など、いろいろなことを教えてもらえます。ぜひ気軽に足を運んでみてください。

・自己分析や業界研究・企業研究・職種研究などの準備をしっかりとする

日本企業は、学力やスキルよりもその人の人となりや熱意を重視して採用します。人となりや熱意をしっかりと企業に伝えられるよう、まずは自己分析や業界研究・企業研究・職種研究などを通じて、自分や志望企業についてよく理解しておくと良いと思います。

僕は自己分析をしたことで、自分は教育に興味があること、粘り強い性格なこと、問題解決が得意なことに気が付きました。

環境適応力や異文化理解力、言語力など、留学生ならではの強みを見つけるのにも、自己分析は役立ちますね。

・日本語でのコミュニケーション能力を高めておく

多くの企業は留学生にビジネスレベルの日本語力を求めています。ただ流ちょうなだけでなく、敬語やビジネス特有の表現、マナーなどについても勉強しておくと良いでしょう。

また、入社後は、社内外でさまざまな立場・年齢・価値観の人々とコミュニケーションをとるようになります。日頃から相手の立場に立って話したり聞いたりするなど、スムーズなコミュニ―ションがとれるよう心がけると良いと思います。

入社に備えて確認しよう!日本のビジネスマナー

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4. 留学生の就職体験談

最後に、LIGHTBOATで僕たちが編集を担当した留学生の就職体験談をご紹介します。

・部品メーカーでキャリアを積むリさんのお話
https://lightboat.lightworks.co.jp/article/job-hunting-in-japan-interview1

<ポイント>
1. 専攻と同じ観光業界を志望するも、適性検査で不合格に
2. 自分はサービス業に向かないと判断し、ターゲットを留学生を積極採用する企業へ変更
3. 書類選考が通過したら必ず面接に行くようにした結果、3社から内定を獲得

・スーパーで経営を学ぶクエンさんのお話
https://lightboat.lightworks.co.jp/article/job-hunting-in-japan-interview4

〈ポイント〉
1. 就職活動は日本人と同じ大学3年からスタート
2. 大学のキャリアセンターで、セミナーを受けたり履歴書の書き方などを職員に相談にのってもらった
3. 3社から内定を獲得

・北海道でベトナム人支援を行うチーさんのお話
https://lightboat.lightworks.co.jp/article/job-hunting-in-japan-interview5

〈ポイント〉
1. 在学中に技能実習生の通訳を経験。外国人をサポートする仕事に興味を持つ
2. 求人サイトや友人の紹介で企業へ応募
3. 卒業のタイミングで内定

5. まとめ

「新卒一括方式」とは、「新卒」とよばれる新しく大学を卒業する人たちを、企業がポストの空きに関係なく、毎年定期的に採用することです。

4月入社をするには、学生は在学中から就職活動を始めます。

就職活動の具体的な内容は、次の通りです。
・インターンシップ
・自己分析
・業界研究・企業研究・職種研究
・エントリーシート対策
・筆記試験対策
・面接対策
・日本語能力試験(JLPT)
・企業説明会
・エントリー
・筆記試験
・面接
・内々定
・内定
・在留資格の変更

日本での就職活動を成功させる秘訣は、次の3つです。
・「キャリアセンター」や「就職課」、「留学生センター」などに相談する
・自己分析や業界研究などの準備をしっかりとする
・ビジネスの場で生かせる日本語能力を身につけておく

一つでも多くの日本企業にあなたの魅力がしっかりと届くよう、ぜひいろいろな情報を参考にしながら、就職活動を進めてみてくださいね。

参考)

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「留学生のための就活ガイド2024」,https://www.jasso.go.jp/ryugaku/after_study_j/job/__icsFiles/afieldfile/2022/11/21/guide_2024_all.pdf(閲覧日:2022年11月21日)

株式会社CareerTour「日本でキャリアを考える留学生の就活ナビ」,https://123-wuri.com/ (閲覧日:2022年11月18日)

株式会社マイナビ「面接の基礎知識」,『マイナビ2023』,https://job.mynavi.jp/conts/2023/mensetsu_gokui/02.html
(閲覧日:2022年11月18日)

株式会社ライトワークス「就職応援」,『LIGHTBOAT』,https://lightboat.lightworks.co.jp/article-cat/finding-employment
(閲覧日:2022年12日1日)