小学生のころからよい目標を立て、大人になって成功した野球選手がいます。彼が、小学生のときに書いた作文を見てください。

「ぼくの夢は、一流のプロ野球選手になることです。そのためには、中学、高校で全国大会へ出て、活躍しなければなりません。~中略~

3年生の時から今までは、365日中、360日はげしい練習をやっています。だから一週間中、友達と遊べる時間は、5時間-6時間の間です。そんなに、練習をやっているんだから、必ずプロ野球の選手になれると思います。~中略~

打げきでは、県大会、4試合のうちに、ホームランを3本打ちました。そして、全体を通した打りつは、5割8分3りんでした。このように、自分でもなっとくのいくせいせきでした。

佐藤 健『新編 イチロー物語』,中央公論新社,2001,p274,p62-63.

これは、元プロ野球選手のイチローさんが小学生のころに書いた作文の一部です。

イチローさんは「プロ野球選手になる」という大きな目標があり、それを叶えるために、「県大会でよい成績を出す」という小さな目標を立てました。そして、県大会の結果具体的分析しています。

仕事で目標を立てるとき、彼の目標の立て方を参考にできます。

目標の立て方がよくないと、なかなか成長できません。目標の立て方がよいと、なりたい自分になることができます。

この記事を読んで、目標を立てるよい方法を知り、仕事に役立つ目標を立ててください。

1. 目標の立て方が大切!仕事に与えるよいこととは?

よい目標を立てると、仕事によい影響があります。

・仕事に積極的に取り組めるようになる
・今、何をすればよいかが明確になる
・将来の夢や目標が見えてくる

仕事に積極的に取り組めるようになる

上司に決められた仕事をしていて、忙しいと、その仕事が大切な理由や、自分の成長を実感しにくいです。嫌な仕事を指示されると、「仕事が嫌だな」と感じてしまうときもあります。

でも、自分で目標を立てると、そこを目指して前向きな気持ちで仕事をすることができます。嫌な仕事でも、「目標のためにやっている」と思えば、やりがいが出てくるかもしれません。

そして、目標を達成できたら、「嫌な仕事もやり切った」「成長した」と感じることができてうれしい気持ちになります。

今、何をすればよいかが明確になる 

目標が決まると、「何を・いつまでに・どのような手段を使って進めていくのか」を想像することができます。そのため、「今、何をすればよいか」がはっきりします。

そうすると、すぐに行動できるので、目標に近づいているという実感が得られます。やり切ったときは、自分に自信を持つことができ、また仕事を頑張ろうという気持ちになります。

将来の夢や目標が見えてくる

まだ将来の夢大きな目標が決まってない人もいるでしょう。

それでも、たとえば「商品を5つ売る」という小さな目標を決めるとします。それをやり切ったら、次は「人に商品を売る方法を教える」という少し上の目標にレベルアップします。

さらにレベルアップすると「チームのメンバーみんなが、商品を売れるようになる」ことが目標になり、次は「自分がチームのリーダーになる」という自分の目標が見えてくるでしょう。

そのあとは、「部長になりたい」という目標が生まれるかもしれません。

そのようによい目標を立てて仕事をすると、将来の夢目標がはっきりしてきます。

2. 仕事の目標の立て方―よくない例

せっかく目標を決めても、達成できないとやる気がなくなってしまいます。それは、気持ちが弱いからではありません。

次の3つのように、目標の立て方がよくないからです。

・目的がはっきりしていない
・目標が高すぎる
・目標に納得していない

目的がはっきりしていない

目的がはっきりしていないと、よい目標を立てられないことがあります。「目的」「目標」違いは何だと思いますか?

辞書で、意味を確認しましょう。日本で使われている有名な辞典、岩波書店の「広辞苑」は、目的と目標の意味を次のように書いています。

・目的
1.成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄。「―をとげる」
→(やさしい日本語訳)実現したいこと。行動する先にあるもの。「こう動こう」と考えること。
2.〔哲〕意志によってその実現が欲求され、行為の目標として行為を規定し、方向づけるもの。
→(やさしい日本語訳)〔哲学的な意味〕「これを実現させたい」という気持ちが、行動に移す理由になり、目印となること。

・目標
目じるし。目的を達成するために設けた、めあて。的(まと)。
→(やさしい日本語訳)目的を実現するための過程で「やる」と決めたこと。

※やさしい日本語訳はライトワークス編集部にて作成

つまり、「目的」は、最終的に実現したいことを指します。たとえば、「トップセールスマンになる」などです。

そして「目標」は、目的を実現するための過程で決めるものです。たとえば、「商品を○○個売る」や「トークのスキルを上げる」というように、具体的な内容で示すものが目標です。

はっきりした目的がないまま目標を立ててしまうと、つらいとき、「なぜそれを目指しているんだろう?」と思い、頑張る理由がわからなくなってしまいます。

目標が高すぎる 

目標が高すぎると、すごく頑張ってもなかなか実現できず、途中で「実現できないかもしれない」とあきらめてしまうことが多くなります。

目標に納得していない

上司があなたの目標を立てることがあるでしょう。

その目標があなたが理想だと思う姿や、こうなりたいという目的と違うものだったとします。

あなたがそれを「よい目標だ」と納得していなければ、つらいときに頑張ろうという気持ちになりません。

3. 仕事の目標の立て方―よい例 

よい目標を立てるため、3つのことを意識しましょう。

・少し難しい目標を立てる
・具体的な目標を立てる
・会社の目標に関わる目標を立てる

少し難しい目標を立てる

「少し頑張れば実現できそう」というレベルの目標を立てるとよいです。簡単な目標を実現しても、あまり成長しません。また、難しすぎる目標は途中であきらめてしまう可能性が高くなります。

具体的な目標を立てる

目標は、具体的な内容にしましょう。たとえば、具体的な数値を目標にすると、実現できたかどうかがわかりやすいです。

会社の目標に関わる目標を立てる

仕事の目標を立てるときは、会社の目標に沿った内容にします。あなたは会社のメンバーなので、会社に貢献する必要があります。

会社の目標を実現するために、どのような目標を立てると役に立つのかを考えましょう。

4. 目標を実現するためにすること

目標を実現するために、次の4つのことをするとよいです。

・やることを細かく決める
・自分の気持ちと体調を管理する
・目標を定期的にチェックする
・定期的に現状を見て、もっとよくできないか考える

やることを細かく決める

目標を細かく決めると、「何を頑張ればよいのか」イメージしやすいです。そして、どのくらい実現できているのかもすぐに確認できます。

自分の気持ちと体調を管理する

目標を実現するために頑張っていても、「本当に実現できるのかな?」と不安に思ったり、「ちょっと疲れたな」と思ったりするときがありますよね。

また、体調が悪いと、頑張りたい気持ちがあっても、頑張ることは難しいです。仕事以外のことでストレスがあると、それが気になって仕事を頑張れないこともあります。

仕事を頑張ることができるように、自分の気持ち体調管理しましょう。

目標を定期的にチェックする

時々、自分の立てた目標がよいものかどうか確認します。なぜなら、途中で会社の目標が変わることがあるからです。

定期的に目標を確認することで、「頑張ろう」という気持ちも続きやすいです。

定期的に現状を見て、もっとよくできないか考える

定期的に「どのくらい目標に近づいているかな」と今の状況確認します。もしうまくいっていないなら、その理由を考えて、どうすればうまくいくのかを考えます。

自分目標を決め、実現する方法を考えることが大切です。

よい目標を立てる具体的な方法や、実現するためのコツは、教材で詳しく紹介しています。もっと詳しく知りたいと思ったら、教材を見てみてください。

5. まとめ

よい目標を立てると、仕事にこのようなメリットがあります。

・仕事に積極的に取り組めるようになる
・今、何をすればよいかが明確になる
・将来の夢や目標が見えてくる

目標を立てるときは、次のことを意識するとよいです。

・少し難しい目標を立てる
・具体的な目標を立てる
・会社の目標に関わる目標を立てる

目標を実現するためのポイントは、やることを細かく決めて定期的に見直したり、自己管理をしたりすることです。

よい目標を立てて、なりたい自分に近づくように頑張ってください。

参考)
佐藤 健『新編 イチロー物語』,中央公論新社,2001,p274,p62-63.