日本でIT関連の仕事をしたいと考えている方に役立つ資格を知っていますか?
「基本情報技術者試験(FE)」という、日本の国家試験です。
基本情報技術者試験(FE)に合格すると、日本でIT関連の仕事にスムーズに就職できる可能性があります。また、日本での永住権を得やすくなるなどのメリットもあるようです。
基本情報技術者試験(FE)は日本の国家試験ですが、実はベトナムでも日本と相互承認されている試験を受験するのが可能です!
今回は、日本で就職するチャンスにつながるFE試験と勉強方法についてご紹介します!教材の案内、会員登録フォームなどは記事内に載せてあります!
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1. 「基本情報技術者試験」に相当する試験を海外でも受けられる!
日本での就職につながる「基本情報技術者試験(Fundamental Information Technology Engineer Examination)」は、日本の国家試験ですが、海外でも基本情報技術者試験に相当する試験を受験できます。
試験名は省略して「FE資格」や「FE」と呼ばれることが多いため、以下「FE」と記載します。
2006年より、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が日本の情報処理技術者試験をベースとしたアジア共通統一試験(ITPEC試験)の実施を支援しています。
このアジア共通統一試験(ITPEC試験)は、アジア各国のIT人材の育成や、各国の連携強化を目的に行われているものです。
アジア共通統一試験(ITPEC試験)は、フィリピン・タイ・ベトナム・ミャンマー・モンゴル・バングラデシュで実施されています。
そのアジア共通統一試験(ITPEC試験)の一種として「FE」があります。他にも、ITパスポート試験や応用情報技術者試験をベトナムで受験することができます。
1-1. 日本の基本情報技術者試験とは
日本のFEは、日本国内では「ITエンジニアの登竜門」と位置づけられています。FEの勉強をすることで、ITエンジニアとしての基礎をしっかり身につけることができます。
2023年より、日本で行われるFE試験の実施方法が変更となりました。
日本で実施されるFE試験について
・通年実施(受験申込みする月から起算して3ヶ月後までの試験日時が選択可能)
・試験会場に設置されたコンピュータを使用して実施するCBT(Computer Based Testing)方式にて実施
・試験申し込みには、利用者ID(マイページアカウント)の作成が必要。
・利用者IDは応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験などのFE以外の受験申込みでも使用。
利用者ID(マイページアカウント)の作成ページ
https://itee.ipa.go.jp/ipa/user/public/entry/
試験の通年実施化に伴い、出題範囲が変更となった部分もあります。サンプル問題が公開されているので、日本での受験を考えている方は下記ページを参考にしてください。
IPA独立行政法人情報処理推進機構
情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について
アジア共通統一試験(ITPEC試験)内のFEも、日本の試験と同じように幅広い基礎的な知識を問われます。
アジア共通統一試験(ITPEC試験)の試験の特徴や構成をご紹介します。
試験の構成
・毎年4月と10月に実施。
・アジア共通統一試験(ITPEC試験)は、試験を実施しているアジア各国が同じ日に同じ問題を使用して行われます。
・試験は英語で実施されますが、ベトナムでは現地語も併記されます。
・試験は午前と午後、2種類の試験が行われます。
・午前中の試験は主に知識を問う問題で構成されます。
・午後の試験は主に実務的な能力を問う問題で構成されます。
・午前と午後の試験は、それぞれ評価されます。
・午前試験と午後の試験は同日に実施されます。
1-2. アジア共通統一試験(ITPEC試験)のFE資格を取得するメリット
ITPEC試験でFE資格を取得するメリットは何でしょうか?大きなメリットは以下の通りです。
・日本での就職に役立つ
・「高度専門職」の在留資格を得るチャンスにつながる
・日本での永住権を得るチャンスにつながる
・日本での就職に役立つ
FEの合格者は、日本での就労に必要な「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に関する基準(上陸許可基準)の特例が適用されます。
具体的には、「日本で従事する予定の仕事に関わる専門分野を専攻し大学を卒業していること」または「日本で従事する予定の仕事について10年以上の実務経験があること」という在留資格取得条件を満たしていなくても、FE取得によりクリアすることができます。
・「高度専門職」の在留資格を得るチャンスにつながる
「高度専門職」の在留資格とは、高度人材と呼ばれる高度で専門的な技術や知識を持つ外国人に与えられるビザです。他のビザと異なり、さまざまな優遇措置を受けられるビザです。FE取得はより優遇された措置で日本に在留できるチャンスにつながります。
例えば、FEを取得するほか、日本語能力や職歴など一定の条件を満たすと「高度専門職」の在留資格が取得できる場合があります。
・日本での永住権を得るチャンスにつながる
高度人材になり、高度専門職の在留資格を取得することで、永住権を得られる可能性が高まります。
永住許可を得るためには、日本に10年以上在留していることが必要とされています。しかし、高度専門職の在留資格を取得し、高度外国人材として活動を行った場合、最短1年間の在留期間で永住権の申請を行える場合があります。
このように、FEに合格することは、日本での就職や生活に大きなメリットをもたらします。
1-3. 情報処理技術者試験の相互認証制度について
情報処理技術者試験の海外との相互認証制度とは、2000年に開催されたASEANと日本・中国・韓国の経済閣僚会合において、日本が提唱した「アジアITスキル標準化イニシアティブ」に基づいて創設された制度です。
日本がアジア地域でIT技術者を対象とした試験制度を作り、出題範囲等が同等レベルであることを相互認証することでアジア各国のIT人材育成を支援、IT人材の流動化を図ることが目的です。
IPAではインド・シンガポール・韓国・中国・フィリピン・タイ・ベトナム・ミャンマー・台湾・マレーシア・モンゴル・バングラデシュの国々・地域と相互認証を行っています。これは、IPAが実施する試験と、相互認証を行っている各国のIT試験機関との間で対象となる出題範囲等が同等レベルであることを指します。
相互認証制度は、アジア各国間でIT技術者を受け入れる際の能力評価の判断基準となり得ます。また、アジア各国のIT技術者にとっては、海外や自国での就職時に、自分の能力を客観的に示すことが可能となります。
2. ベトナムでITPEC試験のFEを受ける方法
ここからは、ベトナムでFEを受ける方法をご紹介します。試験の実施機関や、試験の概要を解説します。
2-1. ITPEC試験の実施機関
ベトナムでITPEC試験を実施しているのは「HITC(Hi-tech Incubation and Training Center)」という機関です。この機関では、ITパスポート・基本情報技術者(FE)・応用情報技術者の3種類の試験が日本と相互認証されています。
所在地:
HITC(Hi-tech Incubation and Training Center)
Km 29, Thang Long Freeway, Hanoi, Vietnam
Tel: +(084)024-62596274
URL:http://hitc.org.vn/
2-2. 試験の受験要綱
FEの受験要綱をご紹介します。
試験対象者:高度なIT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践力がある者
基本情報技術者が担う業務と役割:基本戦略の立案、またはITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事する。
上司の指導の下、下記の役割を果たす。
(1)企業経営や社会システムが抱える課題に対して、情報技術を活用した戦略立案に参加する 。
(2)システムの設計・開発を行い、または共通製品の最適な組み合わせによって、信頼性・生産性の高いシステムを構築する。また、その安定的な運用サービスの実現に貢献する。
午前中の試験
・知識を問う試験
・試験:2時間30分
・問題数:80問。4つの選択肢の中から、正しい答えを1つ選ぶ選択式です。
・合格点:80問中48問正解(100点満点中60点相当)
出題分野 | 内容 | 問題数 |
テクノロジ系 | ・基礎理論 ・アルゴリズムとプログラミング ・コンピュータ構成要素 ・システム構成要素 ・ソフトウェア ・ハードウェア ・ヒューマンインターフェイス ・マルチメディア ・データベース ・ネットワーク ・セキュリティ ・システム開発技術 ・ソフトウェア開発管理技術 | 50問 |
マネジメント系 | ・プロジェクトマネジメント ・サービスマネジメント ・システム監査 | 10問 |
ストラテジ系 | ・システム戦略 ・システム企画 ・経営戦略マネジメント ・技術戦略マネジメント ・ビジネスインダストリ ・企業活動 ・法務 | 20問 |
午後の試験
・実務的な能力を問う試験
・試験時間:2時間30分
・問題数:8問
・配点:第1問 20点
第2~第5問 15点 × 2
第6問 25点
第7問・8問 25点
・合格点:100点満点中60点
問題番号 | 分野 | 形式 |
1 | ・コンピュータシステム ・情報セキュリティ ・データ構造及びアルゴリズム ・ソフトウェア設計 ・ソフトウェア開発 ・マネジメント ・ストラテジ | 回答必須 |
2~5 | 4問中2問選択 | |
6 | 回答必須 | |
7・8 | どちらかを選択して解答 |
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3. ITPEC試験のFEの試験対策
ここからは基本情報技術者試験(FE)の対策について解説します。試験対策に役立つ学習システムの紹介もしますよ。ぜひ活用してください!
3-1. Hi-tech Incubation and Training Centerの無料のオンラインクラスを受講する
ベトナムで基本情報技術者試験を実施しているHi-tech Incubation and Training Center(HITC)では、無料のオンラインクラスを開設しています。オンラインクラスの概要は下記の通りです。
・対象はIT専攻の学生、IT人材
・オンラインクラスは無料
・授業は「ITの基礎知識」「基礎ITクラス」の2種類
・模擬試験を1回受けることができる
・HITCのインストラクターに直接質問できる
参考)http://hitc.org.vn/index.php/dao-tao/dao-tao-sat-hach
3-2. LIGHTBOATのe-Learning、ITPEC試験のFE対策の教材を無償提供!
株式会社ライトワークスが運営するWEBメディア「LIGHTBOAT」では、IPAが書籍で各国へ提供しているアジア共通統一試験教材のうち、基本情報技術者試験用教材「New FE Textbook Vol.1 Vo.2」のテキスト教材部分と演習問題をeラーニング化しました。このeラーニング化した教材を「LIGHTBOAT」で無償提供しています。
無償提供している教材は学習パートと演習問題で構成され、FEのテクノロジ系分野・ストラテジ系・マネジメント系分野にそれぞれ対応しています。
eラーニングはインターネットを使用した学習方法なので、学習者は場所を選ばず自分の好きな時に好きな場所で学習することができます。
LIGHTBOATでの学習方法は以下の通りです。
Step1
LIGHTBOATに会員登録します。会員登録は無料です。なお、LIGHTBOAT内のコンテンツはすべて無料で利用できます。
Step2
会員登録ができたら、LIGHTBOATにログインしましょう。
Step3
トップページに基本情報技術者試験用教材が記載されています。ご自身のペースに合わせて教材を使用して学習します。
< 画面サンプル>
LIGHTBOATは、日本で働きたい外国人が日本での生活を楽しみ、より充実した日々を送れるように「知る」と「学ぶ」と「働く」をサポートするWEBメディアです。日本での生活に役立つさまざまなコンテンツを無償で受講することができます。
無償で受講できるコンテンツの一例は下記の通りです。
・日本語の教材:JLPTN4~N1
・日本で暮らす・働くシリーズ(ベトナム語対応あり):日本での暮らし方、働き方を知る教材
・ビジネス入門シリーズ:日本で働くための基本知識を身に付ける教材
※会員登録のフォーム:https://www29.learningpark.jp/lightboat/user_regist/form.html
教材提供のほかにも、留学に役立つ情報や、日本の食文化や漫画紹介など、日本での生活をより彩り豊かにする情報を紹介しています。
LIGHTBOAT:https://lightboat.lightworks.co.jp/about
4. まとめ
今回は、日本での就職に役立つ「基本情報技術者試験(FE)」についてご紹介しました。
日本の国家試験である「基本情報技術者試験(FE)」ですが、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が支援する日本の情報処理技術者試験をベースとしたアジア共通統一試験(ITPEC試験)としてベトナムでも受験可能です。
「ITエンジニアの登竜門」として位置づけられており、取得することで下記のようなメリットを得ることができます。
・日本での就職に役立つ
・「高度専門職」の在留資格を得るチャンスにつながる
・日本での永住権を得るチャンスにつながる
LIGHTBOATでは基本情報技術者試験用教材をeラーニング化し無償提供しています。
ご自身の人生を大きく変える、基本情報技術者資格をLIGHTBOATと一緒に取得してみませんか。
参考)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「基本情報技術者試験(FE)~ITエンジニアの登竜門~[Fundamental Information Technology Engineer Examination]」,『IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』,https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/fe.html(閲覧日:2022年11月8日)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「アジア共通統一試験について」,『IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』, https://www.ipa.go.jp/jinzai/asia/kaigai/002.html(閲覧日:2022年11月8日)
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報処理技術者試験の海外との相互認証について」,『IPA 独立行政法人 情報処理推進機構』, https://www.ipa.go.jp/jinzai/asia/kaigai/001.html(閲覧日:2022年11月8日)
ITPEC(ITプロフェッショナル試験協議会)「ITPECアジア共通統一試験の特徴とメリット」,『ITPEC Information Technology Professional Examination Council』, https://itpec.org/jp/advantage/advantage-for-company.html(閲覧日:2022年11月8日)
Hi-tech Incubation and Training Center「Kỹ sư CNTT cơ bản」,『Trung tâm Ươm tạo và Đào tạo Công nghệcao』,
http://hitc.org.vn/index.php/sat-hach/sat-hach-cntt/ky-su-cntt-co-ban(閲覧日:2022年11月8日)
Hi-tech Incubation and Training Center「ĐÀO TẠO」,『Trung tâm Ươm tạo và Đào tạo Công nghệ cao』,
http://hitc.org.vn/index.php/dao-tao/dao-tao-sat-hach(閲覧日:2022年11月8日)
外国人雇用・就労ビザステーション・運営:金森国際行政書士事務所「高度専門職ビザのポイント計算で加算される資格について」,
『外国人雇用・就労ビザステーション』, https://visa-station.jp/shurou/koudosenmon-visa-sikaku/(閲覧日:2022年11月8日)
出入国在留管理庁 Immigration Services Agency of Japan「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の技術・人文知識・国際業務の在留資格に係る基準の特例を定める件」,『出入国在留管理庁 Immigration Services Agency of Japan』,https://www.moj.go.jp/isa/laws/nyukan_hourei_h09.html(閲覧日:2022年11月8日)
コンチネンタル国際行政書士事務所「IT技術者(IT資格保有者)に対する永住申請への優遇策」,『コンチネンタル国際行政書士事務所』,
https://continental-immigration.com/permanent-residency/it/(閲覧日:2022年11月8日)
HF(鴻富)行政書士法人(Kofuku Gyoseisyoshi Corporation「技術・人文知識・国際業務ビザ」,『HF(鴻富)行政書士法人』,
https://kofuku-gyoseisyoshi.jp/service/eng_hum_int.html(閲覧日:2022年11月8日)