「もうすぐ国に帰るから脱退一時金の手続きを準備しよう!でも、手順が複雑そう…」

そろそろ帰国するので、脱退一時金を受け取るための手続きについて調べている皆さんは、脱退一時金の手続きは非常に面倒だと思い、混乱してしまうことがあるかもしれません。しかし、準備をしておいたら、実際はそれほど難しくありません。

この記事では、脱退一時金の手続きをするのに必要な書類や、手続きの流れを簡単に解説します。

1. 脱退一時金を受け取る条件

脱退一時金を受け取るために、必要な条件について説明します。
あなたは以下の条件に当てはまりますか?

・国民年金、または、厚生年金に入っていた
・国民年金、または、厚生年金を6カ月以上納めていた
・日本国籍を持っていない
・年金を今までもらったことがない
・障害基礎年金などの年金の支給を受けていない
・日本に住所がない
・日本を出国して2年たっていない

条件に当てはまっていれば、脱退一時金を申請できます。

なお、国民年金と厚生年金の両方に加入していた場合、国民年金と厚生年金の加入期間を合算して脱退一時金を申請できません。

下記のサイトも参考にしてみてください。

脱退一時金とは?受け取る条件、計算方法や手続きを解説

「脱退一時金」を知っていますか?「年金」と間違われやすいのですが、実はこの2つは違います。今回は外国人労働者にとって有益な脱退一時金について解説します!間違いやすい年金についても説明しますよ。仕組みをしっかり理解して、受け取れるお金を把握しましょう!

2. 脱退一時金の手続きをするのに必要な書類

脱退一時金を申請するためには、以下の5つの書類が必要です。

(1)脱退一時金請求書
この書類は、下記サイトからダウンロードできます。

日本年金機構:脱退一時金に関する手続きをおこなうとき
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/sonota-kyufu/20150406.html

また、年金事務所や市区町村および自治体の国際協会でも手に入れることができます。

(2)パスポートのコピー
氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格の確認ができるページをコピーしましょう。

(3)に住所がないとわかる書類
住民票の除票の写しやパスポートの出国日がわかるページをコピーします。

ただし、帰国する前に、あなたが住んでいた市区町村に転出届を出している人は不要です。

(4)脱退一時金を受け取るための口座の書類
金融機関名、支店名、支店の所在地、口座番号、脱退一時金を受け取る本人の口座名義であることがわかる書類を準備しましょう。

もし日本国内の金融機関で脱退一時金を受け取る場合は、口座名義がカタカナで登録されている必要があります。

(5)年金基礎番号がわかる書類
もし自分で手続きができないときは、代わりの人(代理人)が手続きできます。
その場合、(1)~(5)の書類に加えて、「委任状」も必要です。

委任状は下のサイトを参考にしてください。
日本年金機構「年金相談を委任するとき」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/sonota/20140306.html

3. 脱退一時金を受け取る手続きの流れ

書類が準備できたら、郵送・電子申請ができます。提出先は日本年金機構、または、共済組合です。ただし、加入していた年金制度や加入期間によって提出先が違います[1]

(1)日本年金機構に提出する人
・国民年金または厚生年金保険の期間のみである人
・国民年金の保険料を6カ月より短く納めている、かつ、最後に払っていたのが厚生年金保険だった人
・国民年金の保険料を6カ月以上納めている。そのため、国民年金の脱退一時金をもらえる人

(2)共済組合に提出する人
国民年金の保険料を6カ月より短く納めている、かつ、最後に納めていたのが共済組合などの人

請求書を提出し、問題がなければ約4カ月程度で脱退一時金が支払われます。
脱退一時金の支払いと同時に、「脱退一時金支給決定通知書」が送られてくるので確認しましょう。

この通知書は、脱退一時金から引かれた税金をもらうために必要です。
捨てないようにしましょう。

[1]日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/sonota-kyufu/20140710.html

4.脱退一時金から引かれた税金の還付請求手続き

こちらの手続きは、厚生年金の脱退一時金を受け取る人に当てはまります。

厚生年金の場合、支払われた脱退一時金から、20.42%の税金が源泉徴収されています。
つまり、税金が引かれているので、もらえるお金が少なくなっているということです。

ですが、還付請求手続きをすると、引かれた税金が還付金として戻ってくる場合があります。
「退職所得の選択課税による還付のための申告書」を日本国内で最後に住んでいた場所を管轄する税務署に提出して、手続きを行いましょう。

しかし、一つ注意が必要です。
還付金を受け取るためには日本国内の銀行口座が必要です。そのため、日本に銀行口座がない場合は、帰国前に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を税務署に提出する必要があります。そうすれば、納税管理人の口座で還付金を受け取り、自分の口座に送金することができます。もし、提出しないで帰国した場合は、申告書を出す時に一緒に出してください。

5.まとめ

今回は、脱退一時金と還付請求手続きについて説明しました。

どの手続きも、書類の準備や記入が必要です。
脱退一時金には、脱退一時金請求書、パスポートのコピー、日本に住所がないとわかる書類、口座の情報、基礎年金番号が必要です。

また、厚生年金の脱退一時金は、支払われるときに20.42%の税金が引かれています。
それを還付してもらうためには、税金の還付請求手続きが必要です。

還付請求手続きには、「退職所得の選択課税による還付のための申告書」「所得税・消費税の納税管理人の届出書」が必要です。

参考)

アイソシア行政書士事務所「脱退一時金にかかる所得税の還付請求・納税管理人」, 『アイソシア行政書士事務所 入管+ビザ手続き代行オフィス』https://visa-immi.com/reference/taxrefund/(閲覧日:2022年11月11日)

外国人雇用・就労ビザステーション「外国人が帰国する際の厚生年金の脱退一時金とは」, 『外国人雇用・就労ビザステーションホームページ運営:金森国際行政書士事務所』https://visa-station.jp/shurou/gaikokujin-shakaihoken/gaikokujin-dattai-ichijikin/#:~:text=%E3%83%99%E3%83%88%E3%83%8A%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C,%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82(閲覧日:2022年10月28日)

日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」, 『日本年金機構ホームページ』,

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/sonota-kyufu/20140710.html(閲覧日:2022年10月28日)

日本年金機構「年金相談を委任するとき」, 『日本年金機構ホームページ』,

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/sonota/20140306.html(閲覧日:2022年10月28日)

日本年金機構「短期在留外国人の脱退一時金請求書 ベトナム語/Vietnamese」, 『短期在留外国人の脱退一時金請求書』,https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/sonota-kyufu/20150406.files/I.pdf(閲覧日:2022年10月28日)

島田&アソシエイツ国際税理士事務所「外国人の厚生年金脱退一時金の還付に係る源泉所得税20.42%の還付申告【税理士による納税代理人サポート】」『島田&アソシエイツ国際税理士事務所ホームページ』https://shimada-associates.com/2019/04/15/%E9%9D%9E%E5%B1%85%E4%BD%8F%E8%80%85_%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA_%E9%80%80%E8%81%B7%E6%89%80%E5%BE%97%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E%E8%AA%B2%E7%A8%8E_%E9%82%84%E4%BB%98%E7%94%B3%E5%91%8A/(閲覧日:2022年10月28日)