「年金加入期間が3年だと、帰国する時、脱退一時金はどのぐらいもらえるのだろう?」
「脱退一時金がいくら受け取れるか、どうやって計算できるのだろう?」

もしかするとあなたは、帰国する前に脱退一時金の計算方法を調べてみたものの、複雑そうで焦っているかもしれません。

日本に在留している外国人は、「国民年金」または「厚生年金」の保険料を納付します。脱退一時金を受け取るには、2つの年金の違いを知り、正しく計算する必要があります。

この記事では、「国民年金」と「厚生年金」の違いや計算方法を簡単に解説します。

1.「国民年金」と「厚生年金」の違い

まず、「国民年金」と「厚生年金」の概要と違いを簡単に解説します。

「国民年金」は、日本国内に住む20~60歳の人全てが加入する制度です。加入対象者は、学生、自営業者とその配偶者、無職の人などです。

「厚生年金」は、日本の会社で働いている人が加入する制度です。日本で働いている技能実習生も、厚生年金の加入対象者です。

参考)国民年金と厚生年金の違い[1]

 国民年金厚生年金
加入対象者20〜60歳の全国民(学生、自営業者とその配偶者、無職、フリーター、学生、主婦など)会社員や公務員
保険料一律(2022年度は1万6590円)所得により異なる
保険料支払い負担加入者の全額負担事業主と折半
最低被保険者期間10年1カ月

あなたが日本を出国した後、日本国内に住所を持っておらず、国民年金または厚生年金に加入していた期間が6カ月以上ある場合、脱退一時金を受け取る手続きができます。

脱退一時金の計算方法は、国民年金と厚生年金で異なります。

[1] 保険のぜんぶ「厚生年金とは?国民年金と厚生年金の違いやもらえる額や障害・企業年金との違い」 ,https://hoken-all.co.jp/hoken/kokumin-kousei/ (閲覧日:2022年9月7日)

2. 国民年金の脱退一時金の計算方法

国民年金の脱退一時金の計算方法は、以下の通りです。

国民年金の保険料納付済期間と、最後に保険料を納付した月を確認し、次の支給額表に反映します。

国民年金の脱退一時金 支給額表[2]

保険料納付済期間2022年4月~2023年3月2021年4月~2022年3月
6カ月以上12カ月未満49,770 円49,830 円
12カ月以上18カ月未満99,540 円99,660 円
18カ月以上24カ月未満149,310 円149,490 円
24カ月以上30カ月未満199,080 円199,320 円
30カ月以上36カ月未満248,850 円249,150 円
36カ月以上42カ月未満298,620 円298,980 円
42カ月以上48カ月未満348,390 円348,810 円
48カ月以上54カ月未満398,160 円398,640 円
54カ月以上60カ月未満447,930 円448,470 円
60カ月以上497,700 円498,300 円

2021年4月に脱退一時金の支給額計算に関する法令の見直しが行われ、支給上限月数が36カ月(3 年)から60カ月(5年)に引き上げられました。最後に保険料を納付した月が2021年4月以前の場合は、日本年金機構のウェブサイトで脱退一時金の支給額を確認してください。

日本年金機構のウェブサイト:https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20210401_01.html

[2] 日本年金機構「国民年金の脱退一時金額」,https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20210401_01.html(閲覧日:2022年9月7日)

3. 厚生年金の脱退一時金の計算方法

厚生年金の脱退一時金の計算方法は、以下の通りです。

年金加入期間中の平均標準報酬額と、厚生年金の保険料納付済期間を確認し、次の計算式に当てはめて計算します。

計算式

脱退一時金支給額 =  平均標準報酬額 × 支給率

平均標準報酬額とは、平均月収のことです。平均月収は、以下のように計算します。

年金加入期間に得た収入(基本賃金 + 賞与 + 時間外労働手当など)/ 働いた月数平均月収

支給率は次の通りです[3]

納付済期間支給率計算に用いる数支給率
6カ月以上12カ月未満60.5
12カ月以上18カ月未満121.1
18カ月以上24カ月未満181.6
24カ月以上30カ月未満242.2
30カ月以上36カ月未満302.7
36カ月以上42カ月未満363.3
42カ月以上48カ月未満423.8
48カ月以上54カ月未満484.4
54カ月以上60カ月未満544.9
60カ月以上605.5

例:
・平均標準報酬額:200,000円
・納付済期間:2019年9月~2022年9月(36カ月)
・支給率:3.3

上記に計算式を適用します。
200,000 × 3.3 = 660,000円

この場合、脱退一時金の支給額は660,000円です。

国民年金と同じように、厚生年金も2021年4月より脱退一時金支給上限月数が3年から5年に引き上げられました支給率は変わりませんが、最後に納付した月が2021年3月以前の場合、支給上限月数は3年になるため、ご注意ください。

[3] 日本年金機構「脱退一時金の制度」,https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html(閲覧日:2022年9月7日)

自動計算機

自動計算機では、2つの項目を入力するだけで、脱退一時金を計算できます。

まず、次の情報を調べておきます。

(1)平均標準報酬額(税抜)
(2)厚生年金の保険料納付済期間

上記を自動計算機の画面に入力すると、支給額が自動で計算されます。

この計算機で5801名の方が計算しました

内をご記入後「計算する」ボタンを押してください。

日本で働いていた期間

ヶ月

平均標準報酬額(平均月収)

(A)脱退一時金想定支給額:

※(A)=(C)ー(B)

(B)所得税還付想定支給額:

※(B)=(C)× 20.42%

(C)想定受け取り金額合計:

※(C)=(A)+(B)

4. まとめ

日本に在留する外国人は、「国民年金」または「厚生年金」の保険料を納付します。

 ・国民年金:日本国内に住む20~60歳の人全てが加入。対象者は学生、自営業者とその配偶者、無職の人など
 ・厚生年金:日本の会社で勤務している人が加入

国民年金の脱退一時金を計算する場合は、保険料納付済期間と最後に納付した月を確認し、支給額表に反映します。

厚生年金の脱退一時金を計算する場合は、「平均標準報酬額×支給率」の計算式で計算します。

参考)
日本年金機構「国民年金の脱退一時金額」,https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20210401_01.html(閲覧日:2022年9月7日)
日本年金機構「脱退一時金の制度」,https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/sonota-kyufu/dattai-ichiji/20150406.html(閲覧日:2022年9月7日)
保険のぜんぶ 「厚生年金とは?国民年金と厚生年金の違いやもらえる額や障害・企業年金との違い」,https://hoken-all.co.jp/hoken/kokumin-kousei/(閲覧日:2022年9月7日)