夏を彩る、日本の風物詩といえばやっぱりHANABI。

日本では、夏になると全国で花火大会が開催されます。その中でも、特に有名なのが「日本三大花火大会」です。

この記事では、日本の花火の歴史「日本三大花火大会」の詳細、そして花火の種類についても解説します。

「HANABI」の美しさや、楽しさを体験するきっかけになれば幸いです。

1. 日本の「花火大会」の歴史

日本の花火大会の歴史は古く、1733年(享保18年)までさかのぼります。

前年の1732年、日本では「享保の飢饉(きょうほうのききん)」と呼ばれる出来事が起こりました。長く続いた雨と冷夏の影響で害虫が発生し、稲作に深刻な被害をもたらしたのです。

餓死した人は全国で97万人に及び、生活に困窮した江戸の人々の間では暴動も発生しました。

当時の人たちは、このような災いは悪霊の仕業であると考えていました。そして大飢饉の翌年である1733年に、犠牲となった人々の慰霊と悪霊退散を祈る「水神祭」を行い、花火を打ち上げたのです。

隅田川の花火大会

この水神祭を行った場所が、両国の隅田川です。この出来事が花火大会の由来となり、隅田川では、現在でも花火大会が行われています。

2. 数ある花火大会の中でも特に有名!【日本三大花火大会】の魅力

日本では、主に夏から秋にかけて、全国で数多くの花火大会が開催されます。

大規模な花火大会はいくつもありますが、その中でも特に歴史が深く、打ち上げ技術が優れているものが、「日本三大花火大会」と呼ばれる以下の三つです。

・秋田県大仙市「全国花火競技大会(大曲の花火)」
・茨城県土浦市「土浦全国花火競技大会」
・新潟県長岡市「長岡まつり大花火大会」


日本三大花火大会は、日本の花火大会の中でも特に人気が高く、花火を見るために遠方からも多くの人が訪れます。

それぞれの大会の特徴や魅力について、詳しくご紹介しましょう。

秋田県大仙市「全国花火競技大会(大曲の花火)」(あきたけんだいせんし ぜんこくはなびきょうぎたいかい おおまがりのはなび)

大曲の花火は、明治時代から100年以上の歴史があり、毎年70万人以上が集まる日本最高峰の花火競技大会です。

「昼の部」「夜の部」に分かれていることが特徴で、昼花火では光の代わりに色の付いた煙を使った花火が見られます。

全国でも珍しい昼花火。高い技術が必要とされる

夜花火では、「芯入り割物」「自由玉」「創造花火」の3種類が打ち上げられ、クライマックスには名物の大会提供花火が打ち上げられます。全長500メートルのワイドスターマインは、5分間で約1,500発もの花火が打ち上がり、とても見応えがあります。

「大曲の花火」実行委員会の公式YouTubeチャンネルでは、2019年の花火大会ダイジェストを見ることができます。こちらも参考にしてみてください。

全国花火競技大会(大曲の花火)
開催日:2022年8月27日(土)※毎年8月最終土曜日に開催
開催時間:昼花火の部 17:15~、夜花火の部 18:50~
場所:「大曲の花火」公園(秋田県大仙市大曲雄物川河畔)
https://www.oomagari-hanabi.com/

茨城県土浦市「土浦全国花火競技大会」(いばらきけんつちうらし つちうらぜんこくはなびきょうぎたいかい)

土浦の花火大会が開催されるのは、毎年11月の第一土曜日です。夏ではなく秋に開催されるので注意しましょう。

土浦全国花火競技大会は「スターマイン[1]全国一を決める大会」ともいわれており、テンポよく次々に花火が打ち上がるスターマインをたっぷり見ることができます。

また、競技としては「スターマインの部」「10号玉の部」「創造花火の部」の3部門に分かれており、3部門の優勝者のうち最も優秀な花火師には、内閣総理大臣賞が授与されます。

これは大曲の花火と土浦の花火大会だけで授与される賞であり、全国の花火師の目標となっています。

スターマインだけでなく、10号玉や多種多様な創造花火も魅力

大会中盤には大会提供のワイドスターマイン「土浦花火づくし」が打ち上げられます。大会の目玉であるスターマインが複数の場所から同時に打ち上げられ、見応え抜群の花火を堪能できます。

土浦全国花火競技大会
開催日:2022年11月5日(土)(予定)※毎年11月第一土曜日に開催
開催時間:17:30~20:00(予定)
場所:茨城県土浦市佐野子 桜川畔 学園大橋付近
https://www.tsuchiura-hanabi.jp/

新潟県長岡市「長岡まつり大花火大会」(にいがたけんながおかし ながおかまつりおおはなびたいかい)

長岡まつりは、1879年から続く長い歴史のある花火大会で、直径約650mと大規模な「正三尺玉(しょうさんしゃくだま)」「復興祈願花火フェニックス」などが有名です。

長岡市では、1945年に長岡空襲、そして2004年には新潟県中越大震災が起こり、街も人も大きな被害を受けました。こうした出来事を受けて、長岡まつりで打ち上げられる花火には慰霊と復興、平和への祈りが込められています。

打ち上げ幅約2kmにも及ぶ復興祈願花火フェニックスは、視界に収まりきらないほど!空いっぱいに広がる迫力満点の花火を見ることができます。

長岡花火の公式YouTubeチャンネルからも、長岡まつりや花火の様子を知ることができます。行く前に、ぜひチェックしてみてください。

長岡まつり大花火大会
開催日:2022年8月2日(火)・3日(水)
開催時間:19:20~21:10頃(予定)
場所:新潟県長岡市長生橋下流信濃川河川敷
※2022年は感染症対策のため、無料席を設置せず有料観覧席のみ。観覧したい場合は事前予約が必要。
https://nagaokamatsuri.com/

[1] 多数の小規模~中規模程度の打ち上げ花火を絶え間なく連続して打ち上げる花火。仕掛花火の一種。

3. 知ればもっと楽しめる!打ち上げ花火の種類

日本の花火は、種類が多いことも魅力の一つです。さまざまな種類を組み合わせることで、迫力が出たり、メリハリが付いたり、オリジナリティを持たせたりすることができます。

ここでは世界で最も精巧な花火といわれている、日本の割物(わりもの)という打ち上げ花火について、いくつかの種類をご紹介しましょう。


ここでご紹介したもの以外にも、花火にはたくさんの種類があります。花火大会に行った後は、写真や動画を見返して花火の種類を調べてみても面白いでしょう。

<コラム>手軽に楽しめる「プチ花火大会」をやってみよう

2022年は、新型コロナウイルスの影響により開催中止となった花火大会も少なくありません。

しかし、花火大会に行けなくても、花火を楽しむ方法があります。それが手軽に楽しめる手持ち花火です。

手持ち花火は、スーパーやコンビニ、ホームセンターなどでよく売られています。こうした花火を購入して、友人・恋人と「プチ花火大会」をするのも、すてきな夏の思い出になるでしょう。

外国人の方に特におすすめしたいのは「線香花火」。日本らしい情緒がある昔ながらの花火で、日本人が手持ち花火をする際、最後にすることが多いです。


線香花火はとても小さく細い花火ですが、火を付けてから落ちるまで、火花がさまざまに変化していくのが魅力です。


手持ち花火を楽しむ際には、注意すべき点もあります。

花火は火を使うため、できる場所が限られています。公園や海、川辺など、事前に花火ができる場所を調べておきましょう。

また、花火をする際は水の入ったバケツを用意する花火を人や物に向けないごみは持ち帰るなど、ルールを守って楽しみましょう。

4. まとめ

日本の花火大会は、江戸時代の1733年に東京・隅田川で行われた「水神祭」が始まりといわれています。

前年に大規模な飢饉が発生し、犠牲者の追悼や悪霊退散の意味を込めて水神祭で花火を打ち上げたことが、花火大会が広まっていくきっかけとなりました。

現在、花火大会の中で特に有名なものは、「日本三大花火大会」と呼ばれる以下の三つです。

・秋田県大仙市「全国花火競技大会(大曲の花火)」
・茨城県土浦市「土浦全国花火競技大会」
・新潟県長岡市「長岡まつり大花火大会」


これらの花火大会は特に歴史が深く、打ち上げ技術も高いため、毎年多くの人が訪れています。

また、打ち上げ花火にはたくさんの種類があり、特に「割物花火」は世界一精巧な花火ともいわれています。割物花火の種類をいくつかご紹介しましたが、実際に花火大会に行って実物を見ると、さらに楽しめるでしょう。

2022年は開催中止となった花火大会も少なくありませんが、手軽に楽しめる手持ち花火を使って、公園や川辺などで「プチ花火大会」をすることもできます。

日本の花火の魅力に触れて、ぜひすてきな夏の想い出をつくってみてくださいね。

参考)
コトバンク「享保の飢饉」,https://kotobank.jp/word/%E4%BA%AB%E4%BF%9D%E3%81%AE%E9%A3%A2%E9%A5%89-53042(閲覧日:2022年6月17日)
徳島県火薬類保安協会「夏の風物詩”花火”のルーツは江戸時代の大飢饉」,https://tokushima-kayaku.com/category2/entry6.html(閲覧日:2022年6月17日)
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大曲の花火 全国花火競技大会「大曲の花火について」,https://www.oomagari-hanabi.com/hanabi.html(閲覧日:2022年6月23日)
大仙市 大曲の花火「大会提供花火」,https://www.city.daisen.lg.jp/docs/2014022100080/(閲覧日:2022年6月24日)
土浦市「土浦全国花火競技大会」,https://www.city.tsuchiura.lg.jp/page/page000275.html(閲覧日:2022年6月22日)
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茨城新聞クロスアイ「茨城・土浦花火 11月5日 3年ぶり 8月末に最終判断 実行委」,2022年5月27日,https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16535710985282(閲覧日:2022年7月15日)
ジョルダン 花火大会2022「第91回土浦全国花火競技大会」,https://sp.jorudan.co.jp/hanabi/spot_87161.html(閲覧日:2022年6月23日)
長岡花火「歴史年表」,https://nagaokamatsuri.com/learn/history/(閲覧日:2022年6月24日)
ジョルダン 花火大会2022「長岡まつり大花火大会」,https://sp.jorudan.co.jp/hanabi/spot_87273.html(閲覧日:2022年6月24日)
長岡花火「長岡まつりに想いを込めて」,https://nagaokamatsuri.com/learn/(閲覧日:2022年6月23日)
特定非営利活動法人ネットワーク・フェニックス「復興祈願花火フェニックス」,https://phoenix-hanabi.jp/pc/(閲覧日:2022年6月24日)
にいがた観光ナビ「長岡まつり大花火大会」,https://niigata-kankou.or.jp/event/2441(閲覧日:2022年6月24日)
一般社団法人大仙市観光物産協会「全国花火競技大会「大曲の花火」」,https://daisenkankou.com/near/omagarinohanabi(閲覧日:2022年6月23日)
大仙市 大曲の花火「「大曲の花火」ポータルサイト」,https://www.city.daisen.lg.jp/docs/2013120900158/(閲覧日:2022年6月23日)
一般財団法人 長岡花火財団「長岡花火」,https://nagaokamatsuri.com/(閲覧日:2022年6月24日)
公益社団法人日本煙火協会「打揚花火のしくみ」,http://www.hanabi-jpa.jp/uchiage/structure.html(閲覧日:2022年6月24日)
みんなのライフハック @DIME「東京都内で手持ち花火ができるスポット10選」,https://dime.jp/genre/1194167/(閲覧日:2022年6月24日)