「お酒ははたちになってから」

日本では、テレビCMや広告でよくこんな言葉を見かけます。日本語に詳しくなければ、はたちって何?と疑問に思うことでしょう。

日本では、20歳のことを「はたち」と言います。日本の法律では20歳からお酒を飲めるようになるため、「はたち」は子供から大人になる節目の年齢だと考えられています。

そして、はたちになったことを祝うのが日本の「成人式」です。成人とは、大人という意味です。新しく20歳になった若者は、成人式で伝統的な着物スーツを着て集まり、成人のお祝いをします。

この記事では、日本の「成人式」についてご紹介します。

1. 大人になったことを祝う、日本の「成人式」

日本には、成人になったことを祝う「成人式」という行事があります。成人式を開くのは市や町などの地方自治体で、毎年1月第2月曜日の「成人の日」に行われます。

成人式の対象になるのは20歳の若者で、一般的には成人式が行われる前年の4月2日~成人式が行われる年の4月1日に生まれた人を対象としています。例えば2023年であれば、2002年4月2日~2003年4月1日生まれの人が対象となります。

2. 18歳?20歳?日本の「成人」事情

これまで日本の成人年齢は20歳でしたが、法律が変わり、2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられました

それに伴い、成人式の対象年齢をどうするのかという混乱も生まれました。2023年時点では、今までと同じく20歳を対象に成人式を行う自治体が大半を占めていますが、成人式の名前を「二十歳のつどい」などに変えた自治体もあります。

今後、「成人式」という名前がなくなったり、対象年齢や内容が変わったりする可能性もありそうです。

<コラム>日本では「成人」になると何が変わる?

日本では2022年に20歳から18歳に成人年齢が引き下げられましたが、日本の法律では、成人になると何が変わるのでしょうか。

簡単に言うと、親の同意がなくても、自分で重要な判断ができるようになります。例えば住む部屋や携帯電話を契約したり、結婚したりといったことです。

ただし、飲酒や喫煙などは、20歳にならないとできません。少しややこしいですが、以下の表を参考に、18歳・20歳で何ができるのか知っておきましょう。

【18歳・20歳でそれぞれできること】

18歳(成年)になったら
できること
○親の同意がなくても契約できる
 携帯電話の契約
 ローンを組む
 クレジットカードをつくる
 一人暮らしの部屋を借りる など
○10年有効のパスポートを取得する
○公認会計士や司法書士、医師免許、薬剤師免許などの国家資格を取る
○結婚
 女性の結婚可能年齢が16歳から18歳に引き上げられ、男女とも18歳に
○性同一性障害の人が性別の取扱いの変更審判を受けられる
※普通自動車免許の取得は従来と同様、「18歳以上」で取得可能
20歳にならないと
できないこと
(これまでと変わらないこと)
○飲酒をする
○喫煙をする
○競馬、競輪、オートレース、競艇の投票券(馬券など)を買う
○養子を迎える
○大型・中型自動車運転免許の取得

政府広報オンライン「18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。」を基にライトワークスにて作成,https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201808/2.html(閲覧日:2022/12/23 )

この内容は、日本で生活する外国人にとっても同じです。20歳未満の飲酒や喫煙が自分の国で認められていても、日本では法律違反になってしまうので、しっかり覚えておきましょう。

3. 「成人式」の由来とは

昔の日本では、服装や髪形で「子供」と「大人」の違いを表していました。子供から大人の服装・髪形に変えることが、成人の儀式だったのです。男性の元服(げんぷく)、女性の裳着(もぎ)が成人式の由来だといわれています。

元服

奈良時代(710~784年)から始まった成人の儀式です。15歳前後の男性が行っていました。「烏帽子(えぼし)」という袋状の帽子をかぶり、髪形や服装を大人のものにするほか、名前も大人用のものに変えていました。

裳着

平安時代から鎌倉時代 (794~1333年)にかけて、身分の高い女性の間では12~16歳頃、結婚を意識する年齢で成人の儀式が行われていました 。「裳」とは大人の女性が身に着ける服のことで、裳着で初めて身に着け、下ろしていた髪を結んで大人の髪形にしました。

4. 外国人も、日本の成人式に参加できる!

成人式の案内は、その地域で新しく20歳になる人に送られます。住民票を登録していれば、外国人にも同じように成人式の案内が届きます

成人式に参加する外国人は多く、例えば外国人が多く住む東京都新宿区では、2020年に成人式に参加した新成人の半数近くが外国人でした。せっかく日本で成人を迎えるのであれば、ぜひ成人式に参加してみましょう!

5. 成人式にふさわしい服装は?

ここでは、成人式で代表的な服装をご紹介します。紹介する服装だけでなく、自分の国の伝統的な衣装を着て成人式に参加するのもよいでしょう。

振袖 (ふりそで)

振袖は、未婚の女性が着る中で一番格が高い着物です。袖が長く、全体的に華やかな模様が入っているのが特徴で、成人式ではほとんどの女性が振袖を着ます

振袖は購入すると費用がかかるため、レンタルを選ぶ人がほとんどです。ただし、レンタルは1年以上前に予約が埋まることも多いため、早めに手配することをおすすめします。

スーツ

男性は、スーツを着るのが一般的です。日本の大学は入学式でスーツを着るため、入学式用に買ったスーツを、成人式でも着ることが多いです。

特に決まりはありませんが、黒やグレー、紺など、落ち着いた色のスーツが主流です。

振袖・スーツ以外の服装

成人式には振袖・スーツで参加する人がほとんどですが、上記以外にも男性の着物である「紋付袴(もんつきはかま)」や、パーティードレスで参加する人もいます。留学生なら、自分の国の伝統的な衣装を着て成人式に参加するのもよいでしょう。

紋付袴

夏に成人式を行う地域では、振袖は暑いためパーティードレスを着る人の方が多いところもあります。地域によっていろいろと違いがあるため、周りの人にどんな服装で参加するか聞いてみるとよいでしょう。

6. 成人式では何をする?

成人式では、会場でお祝いのスピーチを聞いたり、記念品を受け取ったりします。代表的な成人式は1時間前後で、以下のような流れで行われます。

(1)開会宣言
(2)市長・区長などによるお祝いのメッセージ
(3)ゲストからのお祝いメッセージ
(4)新成人代表のスピーチ
(5)閉会

この他にコンサートが行われたり、有名人からコメントが届いたり、ビンゴ大会を行ったりと、さまざまな企画が行われることもあります。千葉県浦安市の成人式は、ディズニーランドを貸し切って行われることで知られて います。

成人式が終わった後は、会場で写真を撮ったり、小学校・中学校、高校の同窓会に参加したりします。

7. まとめ

日本の成人式は、毎年1月第2月曜日の「成人の日」に行われます。2022年には成人年齢が20歳から18歳に引き下げられましたが、「二十歳のつどい」などに名前を変えて、引き続き行われています。

成人式には、外国人である留学生も参加できます。振袖やスーツ、自分の国の民族衣装などを着て成人のお祝いをすれば、日本での素晴らしい思い出になるでしょう。日本留学中に20歳を迎えるという人は、ぜひ成人式に参加してみてください。

参考)
江東区「令和5年(2023年)二十歳のつどい(旧成人式)について」,2022年12月9日,https://www.city.koto.lg.jp/105020/kodomo/seshonen/seijinshiki.html (閲覧日:2022年12月20日)
政府広報オンライン「18歳から“大人”に!成年年齢引下げで変わること、変わらないこと。」,2022年12月23日,https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201808/2.html(閲覧日:2022年12月23日)
産経フォト「民族衣装で成人式 新宿、半数近く外国人」,2020年1月13日,https://www.sankei.com/photo/story/news/200113/sty2001130017-n1.html(閲覧日:2022年12月21日)
スタジオマリオ「やっぱり気になる!みんな成人式は何を着ていく?」,https://www.studio-mario.jp/event/comingofage/article/014/(閲覧日:2022年12月21日)
晴れ着の丸昌横浜店「はじめての振袖 振袖とは?どんな着物でどんなシーンに着るの?」,『晴れ着のアレコレ』,2021年8月16日,https://www.hareginomarusho.co.jp/contents/furisode/177/(閲覧日:2022年12月21日)
スタジオアリスの成人式革命 ふりホ「成人式とは?その由来や振袖を着る理由などを簡単に紹介します!」,https://www.studio-alice.co.jp/seijin/furiho/about_coming-of-age_ceremony/(閲覧日:2022年12月21日)